こめろぐ

意味のないコメントのような、日々生成されるログのようなモノ

タバコと煙と咳について

先に断っておくと、タバコに関して学術的な考察や研究、それに類する知識等の話ではない。
これまで書いた数少ない日記みたいなのと同じように、個人的な独白なので悪しからず。

この話は僕の父親が大きく関わってくる。
どうやら父親は、若き日には大小にかかわらず<悪いこと>をして、夜な夜なブンブンと喧しい音を響かせる相棒のバイクと友人を連れて走り回るような輩だったらしい。
僕が、学生の頃に原付を乗りたいと頼み込んだ時に「事故ると危ないからダメ」と断り、その具体的なエピソードとして語ってくれた。
その時に、悪いやつのマストアイテムであるタバコも覚えたみたいだった。
小学生低学年のある日に母と離婚してから、僕は友達と一緒に居たいが為に当時の家に残る父について行く事にしたその日から高校生に至るまで、
父は僕が一緒にいる空間ではタバコを一切吸わなかったのを強く覚えてる。
そんな父を僕はとても尊敬している。
なんだかんだ気を使ってもしてしまう、タバコと体臭が混ざった独特の<におい>。僕的にはとても安心する<におい>で今でも好きだ。
だからか、タバコに嫌悪はない。それでも吸う意味までは、父や僕の周りの悪い子に聞いてもよく理解はできなかった。
タバコに嫌悪はないが、吸う意味を理解できなかったのと、「こんなことにお金を使うくらいなら、お菓子でも食べたほうが甘いしマシだ」なんて考えの持ち主なので僕自身が吸うことは今現在に至るまでなかった。

僕が、タバコを吸うに至ったのは単純にストレス。
ありきたりなもんで、社会人2年目のある時仕事と友人関係、お金の問題それぞれ同時に不幸が訪れて出来事が出来事だけに誰に相談する訳にもいかずに、
抱え込んでいた時にふと思いついたのが事の発端になる。
父のタバコを吸って少しだけリラックスしている表情を思い出して、吸えば少しはリラックス出来るのかと思ったのと、
自分のキャパシティを超えた辛さに、死にたくなるというか自傷行為がしたくなったけど、自らの体に刃を向けるとは怖くてできないので
タバコなら、緩やかな自殺みたいに目に見えず、すぐに体感できない傷を内側に優しくつけられると思ったからだ。
決断は早く、ネットで出来るだけ甘いタバコを検索し、コルツのリトルシガーに目星をつけて会社近くで売ってるのを確認し帰りに買った。
家のベランダにでて、一緒に買ってきたライターを使って口にくわえたタバコに火をつける。
息をできるだけ吸ってタバコに火がついたのを確認して口に広がる煙を吐き捨てる。
次の一口はゆっくり吸って、<におい>を確かめるようにゆっくり吐く。
ふんわり香るタバコの匂いと甘いバニラのフィルターの味と煙の匂い。
ただ、吹かしただけだけど意外に悪くないなと感じたのをはっきり覚えてる。
次は肺にいれるように吸ってみると、多くの人が経験したように盛大に咽た。
咽るのが恥ずかしくて、もう一度肺に入れてみてもやっぱり咽たが、そこで頭がくらくら、ぼーっとするのに気が付いて吸いかけのタバコを消してその日はやめた。
部屋に戻って、手や服の匂いを嗅ぐと安心するあの<におい>がした。
ぼーっとした頭のままお風呂に入って、すぐに布団にはいり横になって今の状態なら確かに考え事はできないし
酔っぱらうのとは違う意味でリラックスできてるかもなんて感想を抱いて寝た。
これが僕の覚えてる限りの体験。

それからは、あのぼーっとする感覚を求めて、不安な時嫌なことがあった時気持ちが沈む時とかマイナスな時に吸うようになった。
幸いなことに、タバコひと箱消費するのに3カ月くらいかかるみたいなのでそんなにお金はかからないようで僕は安心している。
何回か吸っているうちに、僕はぼーっとするには咳き込むように吸わないとだめらしい。
なので特に嫌なことがあると涙がにじむくらい咳き込むように吸って肺にいれて、頭と心を麻痺させる。
これが、たまらなく甘い自傷行為なような気がしてさらに酔える。
人と吸ってる理由が違うかもしれないけど僕はこんな感じでタバコを始めた。
一人でこっそりと主に夜に人知れず咽ながら自分のために毒を吸う。
毒だってわかりきっていても吸わずにはいられないなんて滑稽で、なんて頭のおかしい行為だろうと僕は思うけど、
そうでもしなきゃ乗り越えられない自分の心の弱さがあることは認めているつもりでいる。
なんというか、人間味があるというかそういうある種の暖かさを感じる。
「僕は心が弱くて、自分を肯定できないからこうやって毒を吸って感じる痛みで生きていることを実感してるんだ。」
そんな感じで一方的かもしれないけどリスカやいわゆる自傷行為をしてしまう心理を学ぶことが偶然できた。

意味もなく悲しくなることが増えてきて、環境に絶望したり、人から裏切られるのではないかと疑ってなかなか信じれない自分に嫌気がさすことも多くなった。
以前よりも、人といるのが好きではない事に気付いて遠ざけるようになってからより一層人が恋しくなった。
所詮、他人である人と信頼を結び分かり合えることはないと思ってしまうのに
それでも一人は寂しいから誰か一人でいいからそばにいて欲しいと願うようになった。
こんなにも面倒くさい願い事を期待してしまう時にタバコはいい具合に僕を慰めてくれるから、最近は本と並んで僕のよき友達になりつつある。